シニア列伝 ~市長懇談会より~

平成28年11月30日に開催されました高岡青年会議所シニアクラブメンバー市長と語る懇談会におきまして、夏野射水市長、本川氷見市長から両市の現状と呉西圏域の連携事業、そしてメンバーからの質問に対してお話しいただきました。その中から抜粋してご報告させていただきます。(進行は筏井執行世話人)

市長プロフィール

氷見市長 本川 祐治郎 様  高岡JC歴

2000入会(優秀新人賞)
2001年NPO支援委員会
2002年地域環境委員会 副委員長
2003NPOパートナーシップ推進委員会 委員長
2004まちづくり推進室 室長
2005副理事長兼Jayceeアカデミー拡大特別委委員長
2006LOM監事
日本JC 精神ルネッサンス推進会議 副議長
2007専務理事
日本JC コンサルティング部会  部会長
2013年4月富山県氷見市長選に無所属で出馬し当選。
「つぶやきをかたちに」を信条に市政運営にあたっている。全国青年市長会 理事。

詳しいプロフィールは本川市長のオフィシャルサイトでどうぞ

 

射水市長 夏野 元志 様  高岡JC歴

2000入会(優秀新人賞)
2001年Jaycee開発特別委員会
富山ブロック 人間力開発委員会
2002地域環境委員会 副委員長
富山ブロック 情報ネットワーク委員会 委員長
2003年オンリーワンの地域創造委員会
2004年人間力開発委員会
2005年地方自治創造委員会
2006年地方自治システム創造委員会
2007年寺子屋サロンプラン推進委員会
2008年高岡力創造委員会
2009年未来たかおか創造委員会
2010年高岡政策委員会
2011年国際交流渉外委員会
2012年アカデミー拡大特別委員会
 
2003年
(平成15年)
富山県議会議員 初当選
2007年
(平成19年)
富山県議会議員 2期目当選
2009年
(平成21年)
富山県議会議員 辞職  射水市長 初当選
2013年
(平成25年)
射水市長 2期目当選

詳しいプロフィールは夏野市長のオフィシャルサイトでどうぞ

 

 <筏井執行世話人>

両市長とも現役時代はまちづくり系を歩んでこられたということで、まちづくりを進める市長として、またたくさんの職員を抱える組織のリーダーとして、青年会議所で学んだことがどのように役に立っていますでしょうか。

 

<夏野射水市長>

JCのいろんな経験を通して学ばせてもらったと思っているのは、しっかり想いを持ってやっていくことの大切さです。

事業でも施策でもそれにむけてやり遂げるという想いを持っていろんな準備をしないとうまくいかないわけです。担当課から上がってくる施策の内容を聞いたりすると準備や想いが足りないものがあったりすることがあります。

JCのいろんな活動を通じて、想いを持って取組んでいくことが身についてきたのだと思っています。

 

あと組織のリーダーとしてということですが、企業のトップである皆さんも同じだと思います。自分の想いは確かにあって、それを周りにしっかり伝えていても、十分にみんなが納得し理解したうえでベクトルを合わせて進んでいかないとうまくいきません。

さあここに行くぞ!みんな来い!と言っても誰もついてきません。また行政ですから、自分一人でさあやるぞと言っても事務的なものも含めて周りが動かなければ全然動かなくなります。

射水市としてこういう現状でこういうことが必要だろうと、こんなことを目指すために、こういうことをやっていこうよと丁寧に話をし、お互いに理解を深めながら進んでいくようにしています。

スピードが遅いとか、しっかりやれと言われることもありますが、急ハンドルは切れませんので、職員の意識、足元を固めながら進めています。

 

<本川氷見市長>

私からは3点、JCでの役立ちをお伝えしたいと思います。

1つめは、氷見市では、私が市長になってから、スタッフ会議、委員長会議、理事会というJCの会議のやり方を真似て導入しています。企画資料のフォームもJCの議案書を参考に作成して部課長に配っています。

本日は30日なので庁議つまり理事会でした。あとは政策調整会議といいまして、10日と20日に議案を出し、3か月かけて議案を揉むということを実践しています。

今日も『ひみ永久グルメ博』というイベントの報告議案があがっておりまして、そこのマーケティングについてのアンケートを検証して来年度に準備していくことになりました。氷見市役所の所内文化として資料に基づいた合議やPDCAの仕組みが根付き始めました。JCでの学びや経験が行政に活かされている好例として先ず紹介したいと思います。

 

2つめは、私の兄がいつも言っていますが、普段使わない脳みそを使う=専門以外の様々な思考や経験を積むことが大事だということです。私はまちづくり畑を中心に歩いてきましたが、委員長・執行部になると、災害支援とか国際交流とか環境活動とか、それまであまり触れる機会がなかった他委員会の分野のことにも手伝いにいきますよね。そこでバランスよくいろんなことを経験させてもらったことが今、非常に役に立っています。

行政の長の立場になると、特に防災というのは重要テーマですので、あの能登沖地震の時に現場ではこういうオペレーションがあったよなとか、世界の災害に触れるにつけても国際アカデミーでの学びなどがリアルに思い出されます。まさしくJCは≪リーダーシップトレーニング≫の場所であり、変革の能動者たる次代のリーダーを輩出する機関だと思います。組織づくりや企業経営にも役立つ経験の宝庫であることが、これからの方々にJCをおすすめするポイントです。

 

3つめは、ネットワークの作り方です。商工会議所職員時代も名刺ひとつでいろんなネットワークを創るということを教えてもらってはいたのですが、氷見の商店街で活躍するJCの先輩の丁寧な行動に感銘を受けました。

氷見JCの委員長時代に商店街にご生家がある漫画家 藤子不二雄A先生にオリジナルキャラクターの作成をお願いされ、その後も、東京に行く度に 地元の蒲鉾をお持ちしましたと訪問したり、このような記事が出ましたと手紙を書かれたり、JC標準で人間的なおつきあいをされてきたことにより、卒業後もライフワークとして数十体のモニュメントを商店街に設置することになったとのことでした。

私もJCで様々なご縁紡ぎの経験をさせていただき、今は首長という役職と名刺を活かしたトップセールスやネットワーク形成をさせていただいております。デンマークハンドボールチームの合宿や早稲田の応援部合宿誘致では、JCで学んだタイミングを捉えた動き方が非常に役に立ったとありがたく存じております。

 

 <筏井執行世話人>

県西部の高岡市、射水市、氷見市の連携で可能性として何が一番期待できるのでしょうか。

 

<夏野射水市長>

呉西圏域ということで取り組みが始まりました。本来は人口20万ぐらいの都市が中心となって周辺地域が連携をすることで、首都圏などへの人口流出に歯止めをかけようというのがねらいです。

地方の人口20万ぐらいの都市が人口のダム機能をはたしながら、そこが中心となって効率的効果的な行政ができるような連携をとりましょうというのが圏域事業の考え方です。

呉西圏域の場合は、高岡市で17、8万なので、20万に足りないのですが、いろんな方にご協力いただきながら、高岡市と射水市と大きい都市2つくっつけて要件をクリアするならよいということになり、この制度と合致するようになりました。

ただ、もともと呉西圏域でスタートしたのは、高岡と射水が人口のダム機能を果たしてまちづくりをやっていこうという考え方ではありません。

呉西6市というのはそれぞれ強みを活かしたまちづくりを行っており、それぞれがそれぞれで役割を果たしていきながら、水平連携しWin-Winの関係を構築していけるような形でスタートしています。

もちろん中心は高岡ですし、まさに長男兄貴分としての役割を期待されていますが、それぞれが活かしていけるという中での連携というのが呉西圏域の連携の特徴ではないかと思います。

 

<本川氷見市長>

氷見の場合は、氷見線を存続させるというのが連携の中での重要な関心事となっています。なんとか城端線氷見線を連結させようとしているのですが、先ずは氷見線の利用者増加が大切です。ところで皆さんは、氷見線の7つの駅のうち高岡にいくつの駅があるか?をご存知でしょうか。名前は氷見線ですが、実は高岡市内に5つ、氷見市内に2つの駅があります。ですから本当は「高岡・氷見線」の名称でも良い位なのです。でも高岡の皆さんにはまだそれほどのマイレール意識はないですよね。。。是非、積極利用くださいませ。

この沿線には、越中中川駅に 藤子・F・不二雄ミュージアムがあり、氷見駅に藤子不二雄A先生のギャラリーがあるということで、両市を結ぶ共通項が繋がってきます。また、南砺にはエスピーワークス社があったり、射水は「美味しんぼ」の作画者花咲アキラ先生の出身地ですからマンガと電車という資源を繋いでいくことも出来るはずです。氷見線城端線も万葉線も広域連携の視点で大いに可能性を引き出してまいりましょう。

また、人口減少を前提として県西部6市全体で、公共施設のマネジメントをもうちょっとしっかりやっていく必要があります。

例えば、高岡の文化ホールは、本来は県西部全体の持ち物です。将来の人口動態を見据えた時に氷見は単独で市民会館を造るかどうか非常に迷いましたけど、市民の皆さまの意識の中では、なかなか高岡文化ホールを使いましょうという気運には至らず、高岡市民会館の動きも見ながら、結果、単独建設を判断しました。ただし、先ほどの例と同じで、もし、施設の名前が高岡文化ホールではなくて、「氷見・高岡文化ホール」だったらプロ野球球団のフランチャイズの様なもので、マイホール意識が生まれていたかもしれませんね。

お金をかけずとも出来る連携の工夫はまだまだあると思いますし、実は重要です。

あと病院などについても、高度化機能の分担などを呉西圏域全体の中で考えていく必要があると思います。このように人口減少時代においては呉西全体を一つの市と見立てて、ソフトを繋ぎ、ハードを調整していくことが重要です。もちろん射水市さんともどんどん連携したいですし、我々は高岡JC同期なのでいろんな話をさせていただいております。

 <筏井執行世話人>

県西部は防災とか病院などの施設の充実が期待されていると聞いております。しかし、高岡市が中心となって企画書をしっかりつくらないと国からお金がもらえないのではないかという話も聞くのですが実際どうなんでしょうか。

 

<夏野射水市長>

今回のビジョンは、呉西6市がそれぞれの意見を出し合い、テーブルに並べ、所管する部署の人間が集まって、議論を重ねながらまとめたものです。具体的な事業については、基本的に入っているものは進めていきます。

それぞれの事業で事務局機能を担っていくところはすでに決まっているので、もちろん氷見市さんが事務局を担ってやっていくものもありますし、射水が主体にやっていくものもあります。ただ、高岡さんが担うものが多いし大きいので、そう意味で言うと、長男兄貴分として期待されるものが大きいと思います。

 

<本川氷見市長>

ここに5年間で21億円とありますね。20億円というと、氷見市役所の庁舎リノベーションや城端線氷見線の連結、あるいは、各地の学校のひとつ分の建設もこのくらいの額になります。国も財政が厳しいので、6市の拠点づくりをすごい金額でやるということは難しいことだと重いますが、しかし、いろんなところにきめ細かく付けていただいたので、これで頑張ってやっていこうということです。

 

 <筏井執行世話人>

今高岡だけの話をすれば、市民会館の改修が新聞で出てましたが、それこそ県西部で大きな市民会館を20億全部使って作ればいいという意見もあると思いますが、ぜひ高岡に任せるのではなく、両市にも大いにご意見を出していただければと思います。

 

<本川氷見市長>

氷見の都市の規模でも、市民会館は2~30億円位かかります。高岡でつくるとすればどうでしょう。100億円ですか。さすが高岡ですね。ただ、文化のまち高岡でいくとすれば、そうした戦略投資はあり得ることかもしれません。21世紀美術館でその位90億

円近い総工費ではなかったでしょうか。でも今日本一お客さんを集めていて年間来場者数が237万人にものぼります。

~ ここでまとめ役の西村代表世話人からの質問 ~

 <西村代表世話人>

お二人がおっしゃるとおり、これからは一つ一つのまちでやっていくというより、まちの強みをそれぞれ活かしながら、呉西圏域という枠の中で、各市町村が費用分担し、機能分担をしていかざるを得ないと私も思っています。

しかし、それを誰が音頭を取ってやっていくのかが見えません。先ほど兄貴分とおっしゃいましたけど、高岡がリーダーシップをとってそれを全部担ってやっていけるのでしょうか。

一方で、市民会館の話もそうですけど、高岡で100億のものを作って、それをみなさんで使いましょうと言って、各市長さん方が地域の方々に対して説明しご納得いただくのは現段階では大変難しいと思います。

お二人にはそれをあえてやれるだけのリーダーシップを持った首長になっていただきたいですし、少子高齢化の中で箱モノばかりつくるなという賛成の声もあるとは思いますが、それを英断し進めていく方法論があるのか、または高岡にしっかりしろという話だけなのか、呉西圏域を一つの市として具現化していくにはどうやっていったらいいと思いますか。

 

<夏野射水市長>

この呉西圏域の都市圏ビジョンというものは、それぞれ連携を図りながら、それぞれの強みを活かしたまちづくりを広域的に共有しながらそれぞれWin-Winの関係を作りましょうというものです。

ゆくゆくは、それぞれの強みというものを活かしながら、この圏域の中でこういうものをやっていくとするならば、例えば氷見さんが中心にやっていってもらって、これは射水が中心になったほうがいいよねというふうに、今後取り組みを進めていく中で精査されていくものだと思います。

一方で、一つの市に集約できるかといえば難しい点もあって、濃淡はつくかもしれませんが、完全にやるというのはさすがにきついと思います。

あとはそれを誰がやっていくのかということですが、現状そこまでの采配というのは、やはり難しいのではないかと思います。高岡さんがんばれといっても、あまり話がすぎると、人のところの話に手を突っ込まないでくれということになりかねないので、そこはお互い連携をとりながら、その状況をみつつ、濃淡をつけていくというのが現実的なかたちではないかと思います。

 

<本川氷見市長>

今回の連携中枢都市圏の取組の中では、高岡市と射水市が域内経済を牽引する中核拠点と見立てられており、成長期待の高い射水市、夏野市長の発言力はこの6市の中でも着実に高まっていると思います。私ももちろん、全力で地方創生に取り組んでおりますので、未来ある40代の青年市長同士、高岡JC出身者同士で高岡を支え、海沿い3市らしい連携を進めていきましょう。

砺波、南砺さんは砺波文化圏ですごく仲良くやっていらっしゃいますし、小矢部さんもアウトレットや大河ドラマの誘致等で交通の要所を活かして元気にやってらっしゃいますし、なんとなく色分けはできていると思います。

これからは、高岡が提唱していらっしゃる『飛越能86万人の玄関口』だということに対して、もっと6市が共通の意識を高めていく必要があると思います。日本海の拠点たる玄関口らしい都市整備だったり広域政策だったり、我々も支援してきたいと思っていますので、そのあたりのコンセプトをしっかり確認しあうことが必要ではないでしょうか。

氷見はフロリダ州のマイアミみたいな地形ですし、「人と自然がなごむまち」ですから、そうした役どころをしっかり認識し、伸ばしていきます。

皆さん、たまには、ゆっくり お寿司を食べにきてください。

 

<夏野射水市長>

寿司ならうちも美味しいですよ(笑)

 


その後、会場内のシニアクラブメンバーからたくさんのご質問をいただき、高岡市と射水、氷見両市との関係や今後の富山県西部地域の発展について、大いに議論がなされました。


懇談会の後、「庵」にて懇親会が行われ、現役時代を懐かしむかのように、地域の未来について語り合いました。

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